チラシのインパクト

マサは、アート講座も終わりホッと一息つくのも束の間、携帯に見られぬ番号が表示された。「紙の葉っぱのミュージアムのチラシを見ました」と12月19日のアート体験イベントに参加したい旨を伝えてきた。5才と7才の娘を持つお母さんからだった。「２人を預けても大丈夫ですか？ハサミは上の子は使えます」と託児所にでも預ける感じの雰囲気に驚いた。「ハサミを使うのでお母さんもいていただいたほうが」と伝えたが「終わる頃に参加費をお持ちします」とほとんど預ける気になっていたので「来てくださいね」と話を終えるようにスマホを切った。ちょうど2日前にも「紙の葉っぱのミュージアムのチラシを見ました」と同じような始まりの電話が入った。女性の声だったのでアート体験イベントの申し込みだと思ったが「NHK放送局のものです」と言うので、少し興奮気味にペンを手にしてソファに座った。「ペーパーリーフアートって何ですか？」「12月と1月の予定を教えてください」「イベントでは何人ぐらい来るのですか？」「アート講座のテーマは何ですか？」と立て続けの質問攻勢にタジタジになるのがわかった。「また検討して連絡します」とテキパキとした切れ者風の女性だった。紙の葉っぱのミュージアムのチラシの携帯番号を見て電話してきた２人の女性に、チラシの効果以上に強いインパクトを受けるマサだった。