旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

夫婦の共同作業

マサは、アート講座に初めて参加する2組の夫婦を待っていた。とは言っても会場設営は毎回大変で、開始時間ギリギリまでバタバタと動かないといけなかった。そんな中、30分前に元同僚マスちゃんが奥さんと一緒に手土産を下げてやってきた。「三ケ日みかんのお菓子だよ!」とマサの6年半の単身赴任した浜松のお土産を見て、気を遣ってくれたのが充分過ぎるのを感じた。「ムラちゃん夫婦を迎えに行ってくるよ!」とまもなくして2組の夫婦が会場に入り、アート講座をスタートさせた。子どものようなラインを意識したウシのサンプル作品を見せながら「来年はウシがモウと鳴くからMOU yearと文字を添えています」「コロナでモウイヤー!」とオヤジギャグにマスちゃんの奥さんが大きな声で笑うのがわかった。教えたテクニックをすぐに理解して早く作り上げたのも彼女だった。「後15分しかないの?」と困った様子のマスちゃんに、奥さんが手伝ってハサミを使って紙を切ってあげている姿は微笑ましかった。もう一方のムラちゃん夫婦は全く逆で対照的だった。芸大の教授だった彼の作品は、シンプルにウシの顔で空飛ぶ鳥を見上げる目の表情が可愛かった。後ろに座った奥さんが「どうしたらいいの?」とかなり悩んでいる様子だった。「アマビエはどう?」とエンピツでスラスラとスケッチするのはさすがだった。「カラダのウロコはどうしたらいいの?」といろんな色の紙の葉っぱをカラフルに並べるのも手伝っていた。この2組の夫婦を見ながら、結婚式のケーキ入刀以来の共同作業をするキッカケになったのかもと、ニンマリするマサだった。