旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

13の秘密

マサは、朝エレベーターに乗ると後ろから声を掛ける開発課長がいた。『あの段ボール知ってる?』とこの物語のPart1で紹介したこともある、マサの特許品のことだった。今でも公的機関の産業技術センターのSさんは、この技術を講演会で話しているそうで、話を聞いた人からの問い合わせを伝えたかったのだった。『あとから席まで行くから』とエレベーターを降りて別れた。昼まえに『お待たせ、教えてくれる』と開発課長がやってきた。『えっ!』とマサは驚いた。なんとあの大手のプリンター会社で、いつもマサのスタジオで使っているナショナルブランドからの引き合いだった。13年前だったが資料をファイルしていたのも自分のことながら驚いた。『これはすごい技術だ!』と開発課長は感心したが、『そんなことないですよ』と謙遜するマサだった。東京の営業マンに開発課長はすぐメールを送って、マサにはいわゆるCCが付けられた。昼食を終えてデスクに戻って一応パソコンを見るともう返信があった。大手のクライアントだけに営業マンの反応も早かった。『どこでどうやって作れるか』をまず知りたがった。すぐ返信すると『試験結果のデータはあるか?』とメールの返信がまたあった。13年前に作った数値入り資料がエクセルデータとして保存してあった。次のメールに添付して送信ボタンを押した。マサにはもうひとつ持論があった。『13年周期説』というもので、13年前に流行ったモノがまたヒットするというものだ。今は商品企画をやっていないが、久しぶりに13年前の資料を引っ張り出して、『13の秘密』に驚くマサがいた。