旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『開発部長』のパワー

マサは、次の週末『つけもの会社』へ豊橋営業所のニシちゃんと訪問した。新しい『開発部長』は営業出身ということもあり、スーツ姿でダンディな方だった。名古屋の国立一期校を出ており、いかにも切れ者だった。後になってわかったことだが、常務まで上り詰めたのも頷けた。マサが、持っていった資料は『つけものPOSデータ分析と考察』だった。わずか400店舗の売れ筋ランキングだったが、キュウリの漬物が第1位になっていたので、機嫌も良さそうなのもわかった。第2位は、同じくこの会社の福神漬けだった。それ以外は、全国各地にある、らっきょう、しょうが、しば漬けなどの専門メーカーがランクインしていた。課題は明確にわかり、『キュウリの漬物以外をどうするか』とまとめて資料の説明を終えた。『このPOSデータほしいなあ。売ってくれるの?』さすが元営業だけあって反応が早い。1カテゴリー1ヶ月分の価格が決まっていたので提示すると『安い、購入しよう』と即決だった。それ以外のジャンルも欲しそうにしていたが、何がいるのかわからないので質問してきた。『できれば、他のジャンルも分析してほしいが?』と、すかさず営業のニシちゃんは『こんなカタチでよければ、定期的に提案します』とマサをさとすように、こちらも即答した。2人の即答のパワーに圧倒されたマサだったが、これで敵の牙城が崩せれば安いものかと納得した。商談後に近くの店で会食をすることになった。乾杯をすると、アサヒビールスーパードライのラベルを指差して『アサヒはすごい、コクがあるのにキレがあるで、一躍トップブランドになった』とダンディ開発部長の発言が以外であった。つけもの会社なのに、他の商品をよく見ている視点の違いに驚いた。『マサさん、つけもの企画はつけものを見てちゃダメだ。たとえば、このスーパードライを参考にしたっていいじゃないか』後からの話しとなるが、このスーパードライをヒントにした『つけもの』のヒット商品が生まれたのだから、この『開発部長』のパワーはすごかった。