旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『ゼロ円の企画』のオファー

マサが、東京から名古屋に戻った時、『紅の豚』似の課長は部長になっており、マサの席の近くに座っていた。マサは、営業ではなく企画に所属していたので直属の上司ではなくなったが、しばらくぶりなので『よう、元気か?』と突っ張りの格好を見せてきたので、相変わらず変わってない姿に呆れていた。『何ができるんだ?沈黙は金のままか?』とからかってきた。いろいろ聞いてみると、3つ課がありひとつは三重の営業所があり、マサのチカラで営業所をなんとかしてほしいと言ってきたのであった。しかし交通費は出すが、企画はゼロ円でやってくれ、週1回はノルマだと思って必ず行くようにと無茶なオーダーだった。さすが相撲部だけに押しが強く『ゼロ円の企画』のオファーも、あの『紅の豚』の先輩のためならと、なんとかしてあげようとも思い、土俵から寄り切られてしまった。ここで役に立ったのが、東京での先輩主任から教わった手作り企画書であった。『大きな会社があるから、やりがいあるぞ。』とあずきバーで有名な三重にあるℹ︎社のカタログを渡された。営業も全く仕事をもらえてなく、それこそゼロベースからで、『ゼロ円の企画』も納得するところだった。アイスクリームだったら好きだし、とりあえず『商品コンセプトシート』にアイデアを書き出してみようかとやりだした。『そんな鉛筆のスケッチでいいのか?』と紅のブ長は、ちょっかいをたびたびかけてきたが、東京での鉛筆書きの企画書を見せると、不満顔ながら引き下がった。数ページの企画書ができたので、紅のブ長に報告すると来週に一緒に行くから準備しておくようにと指示された。マサは、ニックネームを『紅のブ長』にしてしまったが、気に入ってひとりで苦笑していた。