旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『郷ひろみ』似の営業マン

マサは、結局アイスクリームの企画書は提案せずに名古屋へ戻った。眉毛の繋がった『郷ひろみ』似の営業マンに駅まで送ってもらった。『今日はすみません。打合せだけで』とすまなそうに頭を下げた。たぶん今日は来られなかったが、紅のブー長から電話があってコミュニケーションをするように指示があったような感じだった。でもいろいろ話をしている内に、『郷ひろみ』似の営業マンは、真面目で素朴な性格だったので、マサとはうまくやっていける予感がした。ネクタイがピンクだったり派手な感じだったので、都会の雰囲気を多少醸し出していた。『どこの大学?』と例の都の西北だったクライアントが語ったように聞くと『セントポールです』というので東京六大学の仲間だなあと親近感が湧いてきた。なるほど、ネクタイがピンクなのもわかるような気がした。『郷ひろみ』似の営業マンを『派手好きゴー君』と名付けてみて楽しんでみた。ターゲットにしているℹ︎社のことをいろいろ聞いてみた。まだ仕事はもらってないが、情報だけはいっぱいもっていた。業界トップの競合会社は、わざわざ大阪からやって来るらしい、おいしい仕事はすべてやっているらしい。近鉄特急に乗れば大阪からも遠くないらしいことも教えてくれた。なぜ仕事がもらえないのか聞いてみても、『派手好きゴー君』はわからないようだった。ひとつだけヒントをもらったのは、毎日のように通ううちに、何でも話してくれるクライアントの開発部長がいることを教えてくれた。来週までに必ずアポイントをとると約束をして『派手好きゴー君』と別れた。マサは帰りの電車で、『僕たち男の子ゴーゴー』と口ずさんでいた。