旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『1行コピー』のパワー

マサは、『つけもの』の食シーンを分析することにした。つけものに関してPOSデータ以外に資料はなく困っていたが、家での食事でたまに出くわすことがあった。カレーライスには福神漬け、チャーハンには紅生姜、おにぎりには梅干しや沢庵だった。キュウリの漬物は、我が家ではあまり食べなかったが、弁当かふりかけの代わり使うなども想像してみた。マトリックス分析を使い、横軸に食事時間帯を縦軸に料理メニューを並べて、『つけもの』をプロットしてみた。カレーライスは、家では福神漬け、外食の時はらっきょうの時もある。いつからこうなったのか、例によって図書館で調べることにした。昭和の初めの頃、海外航路の郵船の食堂でカレーライスに福神漬けを付けたのが最初で、戦前の列車食堂で帝国ホテルがカレーライスにらっきょうを付けたと記載されていた。アンケート調査の資料も見つけた。『あなたはどっち?福神漬け派?らっきょう派?』の1行コピーで、6対4で福神漬け派が多かった。これらの資料をまとめて『カレーライスのつけもの調査』を次回の打ち合わせに準備した。次の週末に豊橋へ新幹線で向かった。名古屋から隣の駅までQキップという割安キップがあったので、30分足らずであっという間に着いた。キュウリのつけものもQがついているので、なんだか可笑しかった。ダンディ開発部長が、待ち受けていた。たぶんほとんど知っている内容だったが、『あなたはどっち?福神漬け派?らっきょう派?』の1行コピーに反応してきた。『このコピー使えそうだ』ポスターかパンフレットにでも使うつもりのようだった。マサは、この発言に『カミが降りる』瞬間がクライアントの前で起きてしまったから戸惑った。この場で言うべきか、もったいぶるべきか迷っていると、『マサさん、言いたいことあるの?』とダンディ開発部長が発言を促すのは、さすがだった思った。商品群をある程度理解していたので、その商品のシリーズ名にしたら面白いと瞬間に考えたのだった。『カレーライス福神漬け』の商品名はあったが『カレーライスらっきょう』の商品名はないので、このネーミングで商品を作ったらどうかと、口頭による提案だった。ダンディ開発部長は、『それは、いける!』の即断だった。