旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

マスターのアイデア

プレゼンを2日後に控えて、少し誰かに聞いてもらいたくなっていた。『そうだ、プレミアムフライデーだ!』とつぶやきながら、同級生のバーの扉を叩いた。名古屋から名鉄岐阜で電車を降りて5分程歩くと、ちょうど5時半になる。平日はこの時間から店が開いている。ガラス越しに覗くと、マスターが新聞をカウンターの上に大きく開いていた。トントンと合図すると、メガネを外しながら開けてくれた。入るなり『アート講座は、その後どう?』と挨拶代わりにに聞いてきた。マサは、昨年の10月から3月まで月1回のペースでアート講座を開催していた。講座が終わると、交流会と称してマスターの店に参加者を連れてやってきていた。『あさってにプレゼンあって、クリアできたら7月からまた再開するよ』とカウンターの入り口に近いいつもの席に座った。まずはビールを注文、バドワイザーを出してくれる。すかさずスマホで写真を撮ってFacebookへ投稿する。お腹も空いたし、秘書の妻も歓送迎会で遅くなるらしいので、食事がてらピザを注文した。焼き上がるまで15分は、ジャズを聴きながら、缶ビールをグラスに注ぎながら飲むことにした。タバスコの赤と緑のビンを出しながら『こちらは、辛くないタバスコだよ』と緑をすすめる。ピザは一人で食べるには分厚くて、ボリュームたっぷり、なかなかの味だとつぶやいた。この店に置いてもらったマサが作った作品集のパンフレットを自分で手に取って眺めていた。『作品を額入りにしたら、店に飾ってくれる?』マサの後ろの壁を指差して『アソコならいいよ』と快い返事だった。『ここより、もっといいとこあるよ!』とかなり乗る気で会話が弾んできたのがわかった。『親子が出入りするところは?』と絵本を読み聞かせをする本屋さんや、小児科病院の待合室をと具体的に話してくれる。『同級生のタケちゃんは内科だったかな?』アート講座でユニークな作品を作ってくれたので、話が早いかもしれない。『今度できる市庁舎のロビーもどうかなあ?』なるほど、プレゼンのアイデアがまた増えたと喜ぶマサだった。