旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

マサの回りの女性たち

僕は、久しぶりにマサと出掛けたので、声を掛けてくる人を観察してみた。プレゼンの当日は、秘書の妻から着ていく服のチェックを受けていた。審査員から失礼にならないように、秘書は紺のパンツスーツを選んでいた。マサも水玉柄の白のシャツに紺のジャケットと合わせていた。赤い蝶ネクタイは、ポケットにしまい込んで、プレゼン直前に付けるらしい。会場のメディアコスモスまでは歩いても行けるが、日差しと暑さが気になりクルマで行きたいと秘書が言うまま出掛けた。駐車場にスムーズに入れたのでプレゼン開始まで1時間の待ちがあった。会場に入るとまだ誰も座っていなかったが前の方の席にプレゼン用資料を置いて腰掛けることにした。最初に声を掛けてきたのは、ベテランの女性職員だった。『頑張ってくださいね!今回は応募者多いから大変だけど』と気を遣ってくれたようだけど顔がこわばるのがわかった。プレゼンコメントの書かれたファイルをトートバッグから取り出した。脈拍が早くなるのが伝わってきたが、背後から『マサさん、プレゼンするんですね?』と女性から声を掛けられた。夫妻で頭を下げて挨拶してくれ、見学に来たことを教えてくれた。マサの高校の先輩と後輩あたる夫妻で、1年前に先輩のオーケーさんを通じて知り合った人だった。マサの活動を理解してもらおうと、予定外のコメントを入れようと頭を巡らせていた。今度は秘書から、飲み物なにがいいか聞いてきた。落ち着きたいが落ち着けないのがわかった。15分前にプレゼンの順番を決めるクジ引きまで、あっという間に時間が過ぎた。4番の数字が書かれた三角クジを係りの人に渡した。昨年は5番、今年は4番、早い方が先に終わるのでラッキーだと思ったが、不吉な数字であるとも頭をよぎった。プレゼン時間をオーバーしても話していたマサに、タイムキーパーの女性の視線が恐ろしく感じるのがわかった。プレゼンが終わり気落ちしていたマサに、声を掛けてくれたのは夫妻で来てくれた後輩の女性の『よかったです。きっと通りますよ。』の言葉と素晴らしい笑顔だった。休憩時間に席を立ち帰路につこうと歩き出すと、また後方から女性が声を掛けてきた。『岐阜から全国に発信できるアートになるといいですね。期待しています。』なんと、5人いる唯一女性の審査員だった。良きアドバイザーのイッチャンにいつも言われている『女性がいるとイキイキしている、女性を大事にした方がいい』という言葉を思い出していた。