旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『花火のように』消えていく

マサは、アート講座の後に岐阜駅前から直行バスで『花火大会』の会場に向かった。直行バスだから早く行けると思ったのは間違いだった。乗るまでに30分も並び、バスが着いた場所から30分も歩いた。秘書の妻の友人が招待券をもらい見る場所は特等席で目の前に花火が打ち上がるから歩くだけの価値はあった。汗ダクで到着すると、大きな袋を渡された。冷えたビールとお茶、おつまみになるお菓子がセットされていた。協賛スポンサーのプレミアムモルツは、カラダに染み渡る美味しさだった。お弁当は駅で買ったのでこちらもいっしょに平らげるのは早かった。ほどよくすると、夜の部スタートのアナウンスが流れた。ラジオ局の女子アナが、花火が上がる毎に作品名を紹介してくれる。作品名に合わせてヒット曲などが流れて、曲が終わると作品毎の花火がちょうど終わるとパーット散る光景に会場から拍手が沸き起こる。スマホのシャッターを切る音もかすかに聞こえくる。1時間ほどで、最後のクライマックスのアナウンスが流れた。ナイアガラの滝に見立てた横に長い花火が点火され、数分後にすべてが消えていった。ビールの酔いもあったが、あっという間にすべてが終わった。花火はあっという間に消えていくから美しさが際立つのかもしれないと感じていた。昼間にやったアート講座とダブらせて花火を見ていた。マサが言ったわけでもなかったが、秘書の妻は花火の作品を作っていた。長良川の鵜飼に花火が上がったシーンをうまく描いていた。鵜匠がうまくできないというので、マサが手伝ってアイスの箱からハサミでカットして置いてみた。たまたまだったが鵜匠に見えると周りの人も褒めてくれた。この作品もスマホで撮影してポストカードにしたが『身内ながらいい出来映え』と講師のコメントをするほどだった。写真を撮れば崩されるペーパーリーフアートは『花火のように』消えていくと共通点を感じていた花火大会の夜だった。