旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『プレゼンスペース』の不思議

マサは、少しずつマックのパソコンを使いこなすようになった。ソフトも平面から3Dの立体がシミュレーションできるようになった。コンビニの棚割りが再現できるから、デザイン段階からどう見えるかダミーを作らす検討できるようになった。1998年9月そのシステムを設置した場所をPALSスペースと呼びクライアントに来てもらいプレゼンできるようになった。マサは、このPALSスペースを設計し中の設備計画を起稟して運営を任されていた。これを契機に管理職試験にも受かり、このスペースで最盛期を迎えていたと今感じている。マサは、ここまでくるのに時間がかかり過ぎたのと、当時できた会社の規約から、ギリギリこれ以上の役職には付けなかった。しかしこのスペースは、また新たな伝説も生まれることになった。3Dの棚割りシステムを見たさにクライアントが次から次へと訪問があり対応に追われた。プレゼンスペースには、楕円形で10人が座れる大きな机を置いた。天板はクリーム色の木目調で、ナチュラルな癒しを演出できるものだった。クライアントやスタッフのブレーンストーミングもスムーズにできる効果的なスペースになった。この効果は使ってみた人しかわからないが、20年たった今でも事業部長室で幹部を集めた会議で使われているのをマサはガラス越しに毎日見ている。これらの経験から、アート講座でも会場での机の並びに気を配っている。人と人の距離感は、東京時代の『プレゼンルーム』での『沈黙は金』のマサに突然訪れたヒラメキの感覚をもたらしたので、今でも大切にしている。『プレゼンスペース』に必要なのは、適度な距離感の机とプロジェクターで投影するスクリーンの存在も重要だと感じている。スクリーン画面への没入感も、映画を見ているようでヒラメキと感動も生み出すのは不思議だった。