旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『カミが降りた』瞬間

マサは、今でもブレーンストーミングをしていた。役割りは少し違っていたが、プロジェクト会議の事務局を任されていた。メンバー選定やスケジュール管理を仕切るプロデューサーだと自分では思い『昔とったきねづか』だとマサは意気込んでいた。回を重ねるごとに会議時間が長くなり、自分の子供ぐらい年の離れたメンバーにやっと火がついた実感がしていた。最初はやはり冷ややかな態度が目立ったが、違う部署の集まりで遠慮しなくていい雰囲気も生まれてきたようだ。紅一点で選んだ女子も、ズバズバと発言してくれるので功を奏している。やはり、アドバイザーのイッチャンが言ってる通り女子はマサにとって『幸運の女神』なのかもしれないと久しぶりに感じていた。新しい紙のパッケージを開発するプロジェクトなので、マサは例により鉛筆スケッチでアイデアを出しているが、毎回批判的な若手がおり少なからず腹が立っていた。ズバズバ女子は、その中でも前向きに追加アイデアをくれていたので救われていた。それでも昨日の会議では、修正案のスケッチをみんなに説明したものの全員からダメ出しを食らってしまった。夜も頭の中から離れずお風呂から上がると、突然『カミが降りた』ような瞬間が起こった。忘れないように手帳にスケッチして就寝した。翌朝も頭の中から離れず、会社に行ったら作ってみようと通勤電車に揺られた。最近はペーパーリーフアートの作品作りでハサミを使うのに慣れていたので、イメージしたカタチに紙をカットしてセロテープで貼ってみた。イメージ通りうまく作れた、そしてまた『カミが降りた』瞬間がきたので手が震えるほど驚いた。これだったら、色々なシーンに使える。たった二本の線を入れるだけで新しい機能が加わったのであった。プロジェクトメンバーにも、ズバズバ女子にも感謝してひとりで焼酎を水で割り、サムライジャパンとともに祝杯を上げた。