旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『マーブルガム』の箱

マサは、名古屋に戻ったのに、三重と浜松の営業所に行くのが多く、名古屋の営業マンからも不満の声が聞こえるようになってきた。例によって『キッチン松の木』のカウンターに座ってビーフシチューをオーダーすると、すぐ入ってきた営業マンも横に座って同じメニューを注文した。『お疲れ、きょうも浜松か?』と先輩営業のホリーさんだった。いつも『マサは、いいなあ』と気にかけてくれる優しい営業マンだった。『そろそろ、うちのクライアントも』と少なからず悩みがあるような口調で話してきた。紙の箱を扱うベテラン営業だっただけに、それなりに売上げを上げるのに苦労しているのは意外でもあった。『いいですよ、いい企画ありますよ』と自主企画の話をすると、ビール瓶を差し出してグラスを持つように促してきた。『カンパーイ!』とまだ決まってもいないのに、祝杯を上げる姿はさすがベテラン営業の雰囲気を醸し出していた。クライアントのM社は、4個の『マーブルガム』を小さな箱に入れた駄菓子を製造している会社だった。ハスキーボイスの女子が作った『駄菓子パッケージレポート』とマサが作った『おとなこども商品企画』を合わせれば、楽に企画書ができるとほくそ笑んでいた。『マーブルガム』の箱は、6個入りと4個入りがあるが、ギネスブックに載せられるほどの世界最小の箱だと、営業マンのホリー先輩は語ってくれた。時代とともに、4個入り10円は、6個入り20円となり、4個入りは6種類をアソートパックとなっていった。中高生向けの『おとなこども商品』ガムのパッケージはどんなのがいいんだろうか、チームメンバーとブレーンストーミングをしてみると約束をして、ビーフシチューをスプーンで食べほした。