旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『チョコスナック』の箱

マサは、サイドロッカーから昔の『企画書』のファイルを取り出していた。『おとなこども商品企画』のタイトルの『企画書』がまだ残っていた。1993年1月8日の日付で、今から25年前の企画書だから、ペーパーは黄ばんでいた。浜松のお菓子会社S社へ提案した自主企画だった。これで『大きなさかな』を網ですくったのだから、マサも思い入れも強くペーパーを残しておいたのだろう。棚割りシミュレーションのページでは、ポッキー、パイの実、チョコあーんぱん、きのこの山、キティランド、キドリッコなどの『チョコスナック』を撮影した写真が並べられていた。これらは当時も売れていた箱入り商品で、この中に『おとなこども商品』の新しいデザインをはめ込んで提案したのであった。20円のバー状の『チョコスナック』を短く5本を箱入りにして100円の設定だった。ちょうど太いポッキーが箱に入った感じの商品で『おとなこども』達は、学校帰りにコンビニに寄って購入してくれるだろうと。友達と一緒なら、歩きながら分け合って帰るだろうと強い口調でプレゼンをした。やはりこの時も、1月だというのに『脳汁』が流れてくるのがわかった。クライアントの開発課長は『久しぶりに面白い企画だ』と目をクリクリさせて、喜びを表現してくれた。20円のバー状の『チョコスナック』は、野球のバットをイメージした商品で、青いヘルメットを被ったキャラクターを使っていた。『名古屋のサークルKに持っていこう!』とドラゴンズと同じブルーのヘルメットを被ったキャラクターだったら、ドラゴンズファンのこども達が買ってくれるだろうと開発課長は語ってくれた。この年の秋からサークルKでテスト販売され、ジワジワと販売が伸びていったことも、その後、開発課長に会うたびに話してくれた。S社のホームページを見ると、この商品のヒストリーがわかるので、マサはよくサイトを訪れて『チョコスナック企画』の記憶を思い起こしていた。