旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『女子』に囲まれて

マサは、自分が望んでいないのに、上司は新入社員が入ってくると一人は必ず付けてくるようになった。アドバイザーのイッチャンは、『女子に囲まれるとイキイキしている。大事にしたほうがいい』と会うたび話していた。マサは、替え歌にするほど母や姉の存在に囚われており、ボリュームの高いBGMのように接していたために『沈黙は金』になってしまったと振り返っていた。ひょっとしたら、このBGMが心地よくなっていると周りの人達は思ったのかもしれない。だから『女子』をマサに付ければ上手くいくと思ったのかもしれない。1年目の女子は地元短大卒で、頭の回転がよく流暢に話しができる茶髪のチャキチャキ女子だった。マサは、この子はいけるかもと思ったのも束の間で、1年でロンドンに留学したいと去って行った。2年目の女子は、今話題のアメフトの強い神戸にある大学卒でお嬢様で上品過ぎるほどで心配した通り、データ分析など肌に合わないと部署異動してしまった。3年目の女子は、地元セントポール系大学卒のハスキーボイスの子は、マサの思いを一番理解してバリバリとこなしてくれたが、パリにチーズの研究に行きたいと5年で去って行った。彼女の代わりに入った女子も同じ大学卒で、おとなしめだったがすぐバリバリやりだした。この頃から、外部のスタッフから『女子を上手く育てるね』褒められるようになってきた。残念ながら、彼女は休日に交通事故に遭い、長期休暇を余儀なくさせられたのだった。結局『女子に囲まれる』環境は続いていったが、男子を直接に育てる機会には恵まれなかった。あの『女子達』は今なにをしているのだろうと振り返るマサがいた。本当は女子の扱いが苦手なのになぜこうなったのか、幸運の女神だったのではないかと考えるようになった。