『TVCM』の効果

マサの提案した『ビールジョッキみたいな箱』は、なぜか大阪のディレクターがデザインすることになった。マサは本当は、ネーミングやデザインを最後までプロデュースしたかったが、そこまでの経験がなかったのでクライアントのことを良く理解している大阪のディレクターが担当することになった。自分の手から離れていったが、2ヶ月たった頃に同じルームの後輩から『あれのTV CMやってたよ。女性のモデルがアウトドアでお洒落に持って食べてたよ』そうかあ、マサもCM見たかったが、家に帰るのが遅くその時間帯には放送されず目にすることはなかった。たぶん提案したターゲットのイメージボードのようなTVCMだったことがわかった。嬉しさも中くらいだったが、この仕事をキッカケにして東京の営業はもちろん、全国からもオファーが相次ぐことになった。名古屋、福岡、仙台と自主企画キャラバン隊は、例のプレゼンキットを持って出張を重ねていった。一方、先日のアドバイザーのイッちゃんとの会食での会話も思い出していた。『マツコの知らない世界からオファーがあったらどうしよう？』とマサが冗談ぽく言うと、『替え歌でTVに出たこともあるし、オファーあるかも知れない』と真面目な顔して答えを返した。イッちゃんは『マサは持っているかもしれない』と言うので、TVに出る時の格好までアドバイスしてくれ『ベレー帽に蝶ネクタイだ』と言うので笑えた。本当にTVに出たらえらい事になると遠い昔の経験からもアタマでは理解していた。