旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『ヒラメキ』は突然に

マサは、東京での自主企画でクライアントがこれだと言ってくれるのは、アイデアが決め手になると感じていた。『アウトドアスナック』の最後にくる提案アイデアは、クライアント毎に変えていくことで、ひとつのテーマが幅広く使えるから効率的だともいえる。新潟地区にも、大きなお菓子会社があり、営業がいいネタがあると情報を入手したらしく、わざわざ新潟から新幹線で打合せに東京まで来てくれたのである。プチシリーズで有名なB社と柿の種で有名なK社である。どちらの会社も、新たなスナック菓子を開発したいらしく『アウトドアスナック』に興味を示していることが伝えられた。例により、ブレーンストーミングのアイデア会議をすることになった。白い箱のサンプルを見たり、特許集の本をみたりしてアウトドアにふさわしいパッケージを探すことにした。マサは特許集の中から、カバンのように上に持ち手の付いたパッケージが目に止まった。たまたま横向きにしてみたら、マサの好きなビールジョッキみたいな持ち手になるのではないかと『ヒラメキ』に出会ったのである。すぐ商品コンセプトシートに後輩が鉛筆でスケッチしてくれた。先輩主任からも、これはいけるかもしれないと、珍しく褒めてくれた。1週間後に新潟に出張することになった。自主企画キャラバン隊と名付けられて準備に取り掛かった。スライド投影機とスライドカセット、そしてクライアント別のアイデアボードを持って行った。新幹線では3時間程で新潟に着いたが、前日に宿泊して翌日にB社とK社にプレゼンして帰るスケジュールになった。マサにとって新潟は初めての街だった。夜は古町という柳ヶ瀬に似た繁華街で会食し、カウンター越しの女性も美し過ぎる人だったと記憶している。翌日は、どちらの会社も雰囲気は似ていたが、20名近くの人の前でのプレゼンとなり緊張がかなり高まっていた。前半は先輩主任が、後半はマサが説明することになっていた。ほとんど緊張で何をしゃべったか記憶がないほどだったが、『ビールジョッキみたいな箱』これを今考えているスナックに使ってみたいからと、その場で反応があったのには驚いた。プチシリーズで有名なB社だったので、夢ではないかとほっぺたをひねるマサがそこにいた。