旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『アイデア』のチカラ

マサは、BSで一週間分の『半分、青い。』を見ていた。ゴールデンウィーク中は朝、昼、そしてまとめて3回見ることになる。妻からも朝ドラにハマっているね、そんなに面白いと、飽きられている。タイトルの透明なガラスに描かれたイラストの数々も、何度みても楽しい。タイトル音楽もリズミカルでウキウキする。星野源の『アイデア』という歌で、あの恋ダンスに似たようなリズムが流れる。午後からは柳ヶ瀬のカラオケに行くことになっており、この曲『アイデア』に挑戦しようとリズムを覚えようともしていた。高校最後の学年は、いよいよ受験勉強の追い込みに入る年でもあったが、マサの目指す九州にある芸術系の大学は数3、物理、化学、世界史が必須科目で、特に数3についていけず4月でほとんど諦めていた。このままではどこにも行けない、部活を今すぐやめて勉強に専念するように担任から言われた。部活の先生に相談するも、8月の最後の大会までキャプテンとして頑張るようにと。悩んだ末に、熱い思いを語ってくれた部活の先生に選択を委ねることにした。少し吹っ切れたのか、受験でそれどころでない人ばっかりだったのか、8月の野球大会が終わった後の10月の体育祭の応援団にも選ばれてしまった。しかも、応援団長という重責を担うことになる。替え歌でテレビに出演したことも役に立った。応援には応援歌が必要になり、自分で考えた歌詞をガリ版印刷をして団員に歌ってもらうことも嬉しかった。応援合戦の最後をどう印象付けるか妙案がなかなか浮かばなかった。部活が終わるとアンちゃん、イッちゃんの2人がいつものように、受験勉強をいっしょにしようと遊びに来ていた。ほとんど勉強以外の話で盛り上がる毎日だったが、この時に応援の『アイデア』が生まれた。応援のフィニッシュに、男子の青いジャージを空に向かって投げると審査員受けするだろうと、イッちゃんが語る。これはいけると、マサは団員にストーリーを説明、練習して当日にのぞんだ。みごと青龍団の上に青いジャージが舞って、応援の部優勝することができた。『アイデア』の勝利の姿は、卒業アルバムに記録されている。