旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『プレゼン』って

マサは、2週間後に迫っている市民活動の『公開プレゼン』をどうするか悩んでいた。東京時代の先輩主任からは『プレゼンはドラマだ!』と教えられていた。当時のプレゼンは、紙ベースが基本であったが、先輩主任が考えだしただろうドラマを演出する手法があった。マサが紙にペタペタと貼った企画書をもとに、スライド用のフィルムで撮影をしていった。会社の近くに写真現像屋さんがあり、そこに持っていくと翌日には一枚一枚マウントに入ったスライドができあがる。各ページの鉛筆書きしたタイトル文字も濃いブルーの白文字でスライドに出来上がってくるから面白い。スライドは50枚セットできる細長いカセットにセットし、投影機に入れると準備が完了する。四角い大きな机のある会議室に機材を持っていき白い壁に投影すると、大画面でかなり迫力があった。この会議室は、クライアントが来たときに使用する『プレゼンテーションルーム』だということも知った。スライドは出来上がったが、説明するのは誰がするのだろうと黙っていると、先輩主任から『じゃあマサ、プレゼンやってみて!』と軽く話してきた。脳はかなり活性化できてきたが、人前で話すことは大の苦手だった。一言もでない、ここでも『沈黙は金』のマサになってしまっていた。昨日も、良きパートナーアラキンと幼友達のイッちゃんと大須観音駅近くのちょっとレトロな居酒屋『ばかうま』で会食したが、マサは『公開プレゼン』の悩みを打ち明けて酒の肴にしてもらった。目の前に座ったイッちゃんは、高校時代に体育祭の応援団のアイデアをくれたが、さらに磨きをかけたアドバイスをズバズバくれた。マサの説明を受けて『マサは、プレゼンがヘタ』といきなり歯に絹着せず、まるで先輩主任を見ているようでおかしかった。イッちゃんは、マサの良きアドバイザーに、これからもなってくれると心の中でつぶやいた。