旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『企画書』って

マサは『アウトドアスナック企画』に訳もわからず取り組み始めていた。先輩主任はいつもメンバーに言う口癖があった。『企画にはストーリーを、プレゼンにはドラマを』さすが文学部出身だけあって小説でも作るようなこと言っていた。ワープロはかろうじてあったが、パソコンなるものがない時代だったので企画書作りは手書きであった。透けて見える方眼用紙に定規を使ってタイトル文字を囲んだりした。先輩主任は、文字も美しくその分、企画書も素晴らしく見えるから不思議だった。マサの字は、角張っており小学生が書くような文字で、お世辞にもキレイとは言えなかった。まずは練習のつもりでいいからと言われ、B4サイズの方眼用紙を横に置いてタイトル文字を書いた。『企画書はまずタイトルからだ』これも先輩主任の口癖であった。また紙のサイズにもこだわっており、B4サイズは大き過ぎず小さ過ぎずでちょうどいいのだそうだ。本文もまずはページ毎のタイトルをストーリーを考えて付ければ、もう8割はできたものだという。調査1.2.3それからターゲット、アウトドアスナックの機能、中身、味、パッケージなどすぐ10ページ近くになった。調査のページは、後楽園遊園地で撮った写真をとりあえず仮止めして貼った。ターゲットのページは、女性雑誌から切り抜いた若い女の子の使っているバッグや小物を貼ってイメージを膨らませた。2人の女性スタッフに頼むと楽しそうに雑誌を切って渡してくれた。スナックの味やカタチは、色鉛筆でスケッチした紙を貼った。パッケージは、カタチのアウトラインを鉛筆で描いた。切って並べて貼る世界は、まるで現在のペーパーリーフアートそのものだったのかもしれない。