旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『ふたつのデスク』に戸惑う

マサは、『半分、青い。』の漫画家の秋風羽織の事務所シーンを見て、東京での会社員生活を思い出していた。神田川沿いに9階建てのビル2階にマサのデスクがあった。2階フロアには100人近くのスタッフがおり、3階から8階までは営業関係のフロアなので、かなりの人達がいたことになる。これらのフロアにあるデスクは、大小はあるものの、すべて事務机だったのでこれまでと同じで違和感はなかった。初出勤でひと通り挨拶が終わると、先輩主任はデスクに座ることなく階段を降りて行くので後をついていくしかなかった。2分間ほど歩くと隣にもやや古い3階建てのビルがあり、入っていくとプランニングルームなる部屋に案内された。『ここが僕たちの部屋だ、好きなところに座っていいよ。』学校の物理化学室にあるような黒い天板で8人はゆうに座れる机だった。こちらには、後輩の男子や、アルバイトの女子が座っておりにっこり笑って挨拶してくれた。でもどこに座っていいか分からずモジモジしていると、どちらかともなく『どうぞ』と真ん中の席に促された。まだ当時はコンビニなるものがなかったが、この部屋にはコンビニのようなちょっと低めの棚が置いてあり、よく見かける商品も並べられていた。その奥には大きな机があり、いろいろなカタチをした白い箱が、ランダムに数えきれず置いてあった。壁一面には、開閉式のトビラの付いた書棚が設置されていた。もうひと部屋がドア越しにあり、正方形の大きな机で12人が座れる会議室のようだった。どこで仕事をするのだろうと、戸惑うマサがそこにいた。