粗大ゴミとともに
マサは、今年を振り返っていた。夏は西日に悩まされて『よしず』をホームセンターに買いに行った。家の前の8階建てのビルが壊されて、たまらず玄関に立て掛けることが秋口まで続いた。家の両側が駐車場になってしまっており、前も駐車場になったら吹きざらしの一軒家になってしまうと危惧していた。10月に入ると平地になった場所に建設資材が運ばれるようになった。『ここは何になるんですか?』と現場作業員に聞くと『プレハブの3階建ての住宅になるようです』と優しく答えてくれた。『ああ、よかった』これで西日に照らされることもなくなると少しばかり安堵した。早いもので12月終わりには住宅も完成して、入り口にはオシャレな名前のプレートが貼られた。ワンルーム12戸で全部埋まればちょっとした賑わいもできると想像してみた。階段を半分ふさいでいた『よしず』も不要となり、普通ゴミでは捨てられず『粗大ゴミ』としてクルマに乗せて焼却場へ運ぶことにした。この際なので、クルマに乗せられる分だけいらない物を積み込んだ。コタツ、ストーブ、ソファ、布団などいっぱいある。三ケ日の単身赴任生活で使っていた衣類も思い切って袋に入れる。『粗大ゴミ』とともに今までのアカを拭い取って、これまでにない新年を迎えたいとクルマから袋をたくさん降ろた。スッキリとした気分で、焼却場を後にするマサだった。