『耳にする』初めての言葉

マサは、久しぶりに会社に出社した。ゴールデンウィークの休みは9日間で、僕もマサのカバンの中でじっとしていたのでうんざりした。整体院のアドバイスもあり、歩くときは足の指で地面をつかむようにしてみた。それにより、前に重心がかかりフラつかない歩きができるような気がした。夜のテレビ番組で、現代人の病気で最も心配されるのは認知症、次いで『気象病』であることを興味深く聞いていた。『気象病』なる言葉は、初めて耳にしたが、マサの症状に似ている現代病で注目されているのにビックリした。気候変動など気圧の変化で、三半規管に異常をきたし目まいを起こすというもので、飛行機に乗った場合でも敏感に反応するものだそうだ。マサの妻も、これじゃないか、台湾に行った時もキーンと耳が痛くなるので空港で専用の耳栓を買ったことを思い出した。この症状のある人の対処方法も教えてくれた。両耳を両手の指先でつまみ、上、横、下の方向に10秒それぞれ引っ張り、後ろに回すように押さえた後に、耳を縦と横に折り曲げて終わる。１日3回、朝昼晩とやることで三半規管の周辺部が鍛えられるというものだ。腰のリハビリもしなくちゃいけないが、今までやったことのない耳の運動も人のいない場所でやることにした。