旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

隣りの町の楽しみ

マサは昨年6月にオファーのあった隣りの町へ向かっていた。「成人学校講座」と名付けられたアート講座でマサの活動を新聞で見た公民館職員からの依頼だった。きょうが4回コースの最終日でクルマに乗ると40分で到着する。秘書の妻を連れて行くが、美味しい食事ができることを餌に釣っていた。1回目は夕食に歴史ある鰻屋に、2回目は有名蕎麦屋に行く予定が定休日でうどん屋のランチ、3回目は中華料理店のボリュームある定食にした。この町は刃物が有名で、江戸時代から鍛冶屋職人が疲れを癒やすために鰻のタレも濃い味になっている。4回目はもっと美味しい鰻屋があると聞き店に着いたがテイクアウトだけだと知ってガッカリする。それでも1回目の鰻屋に11時過ぎに入ったが祭日でかなり混んで待たされた。午後1時から会場に入りアート講座の準備をした。お題は「バレンタインカードをつくる!」3日後のプレゼントするチョコレートの上に乗せるメッセージカードにもなり贈った相手にも喜んでもらえるとテーマに選んだ。女性4名と男性1名の受講者だったが、毎回の作品には目を見張るものだった。感謝の意を込めて、最後にプレゼントを用意していた。きのう近くにある高島屋の10階のイベントフロアにエレベーターで登った。平日の午前中ではあったが、チョコレートを買う女性たちがそこそこショーケースを覗いていた。カップルもいたが、男性ひとりはマサだけで少し恥ずかしかった。4つのチョコが可愛い正方形の8種類のカラフルな箱に入った商品が目に付いた。女性の店員が不思議そうに近づくので「8種類は同じチョコですか?」と聞くと、よくわからない様子で「これとこれは同じです」と何とか答えた。「じゃあ左から5つをお願いします。別々に包装してください」とできるだけ手短かに済ませた。5人の受講者に秘書の妻からチョコを手渡ししてもらった。グルメと受講者に会う楽しみが今日で最後と思うと、少しばかり切なくなるマサだった。