旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

新しいオファー

マサは、そろそろプレゼン結果が送られてくるとソワソワしていた。ポストに郵便が投げられた音がしたので、急いで玄関まで足を運んだ。A4サイズの厚みのある封筒だったので、いい便りであることがわかった。それでもハサミを入れる手が震えていた。「市民活動支援事業に認められました」の文字を確認すると、安堵感で震えもおさまった。秘書の妻に伝えると「よかったね!」と一言だけで、喜びを抑えているのか冷静な返答だった。30枚程ある書類に目をやる中に「熱心な活動により着実に結果を積み重ねておられます。図工が苦手な子でも気軽に取り組めるものなので、これをきっかけに未来のクリエイターが誕生し、さらなる活躍を期待します。」と審査員のコメントに喜びと感動が込み上げてきた。運営委員のメンバーやこれからお世話になる美術大学准教授や委託業者へメールを送り、これまでの感謝とこれからの協力のお願いを伝えて気を引き締めていた。コロナの影響でWeb審査となり、プレゼン動画をホームページに1週間アップしての審査となっていた。「出張アート講座もどんどんやっていきます。」と力強くコメントした動画をロッキーeスタジオで制作していた。このプレゼン動画は一般の人にも公開されており、この1週間の間に不思議なことが起きていた、「児童クラブの支援員をやっています。アート講座をやってもらえませんか?」と支援員の先生6名に作り方を教えてほしいという電話だった。この春にテストでやった児童クラブからの紹介で知ったことも伝えてくれた。もう一つも、突然のメールだった。「成人講座を企画しています。お願いできませんか?」と隣の市の公民館の管理者であると記載されていた。こちらは地元TV局でやった作品展を見たことも付け加えられていた。プレゼン結果の前から、2つの新しいオファーに、新たなステージに入って行くのを感じるマサだった。