旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

公民館のアート講座

マサは、いつもの土曜日より早く起きていた。『警報が出てないので、予定通りやります』と公民館の館長からスマホに連絡があった。NHKの朝ドラを見ると、秘書の妻と会場へ向かった。クルマの中で想定されるそれぞれの役割を打合せしながら運転したが、あっという間に着いたのでやや不安だった。雨はまだ小振りだったが、公民館の入り口に横付けに止めて荷物を降ろした。すぐに中から館長がやってきて『きょうはよろしく。なんとか出来ることになって良かったです』と挨拶を交わす。館長は同級生のいまちゃんの奥さんで初めて顔を合わせると、マサの妻も紹介する。『主人からいいアート講座があるからと聞いたのでお願いしました』と元校長先生らしくしっかりした口調と笑顔も素晴らしい方だった。いつのまにか開始時間まで30分しかなくなってしまい設営に集中していった。この間やったイベントのプチミュージアム体験もしてもらいたと、作品を立て掛け、プロジェクターでエンドレスで作品画像も投影した。秘書の妻は要領がわかっていたので暗黙の役割でなんとかギリギリにセッティングが完了した。男性の職員から、2人を先生と言われて紹介をしてくれる。まずマサは自分でアーティスト名を名乗ったが笑いはなかった。そのまま作り方と注意事項を説明しようとすると、秘書の妻から小声でストップがかかった。『クルマの中で自分も自己紹介するって言ったでしょ!』そうだった、『ロッキーマサの妻です』と言うと笑う子どもだった。作り方をよく聞いてくれたので、子ども達は自分の好きな作品をどんどん作ってくれた。女の子は3つも作ったが、男の子は1つがやっとだった。ポストカードにプリントして透明な袋に入れてあげる。アートスタンドに飾ってミニ作品展もすると喜ぶ笑顔が素晴らしかった。おみやげでセットで渡すと『家でも飾ってみる、宝物にする!』と言う言葉は、何よりも増して嬉しく思うマサがそこにいた。