旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『湿度に弱い』ペーパー

マサは、クレームを10分の1にするために次に多いクライアントをターゲットに分析を始めた。毎年のように繰り返すクレームがあった。スープの会社P社から大量の箱を注文もらい製造していた。シーズンが終わると倉庫に在庫になることもあった。決まって秋口からこの製品を使うと箱が起きないというクレームとなった。起きない箱を良く見ると弓状に反っているので、うまく箱が開かないことがわかった。すべての箱が反っているわけでなかった。製造日と出荷日をエクセルシートに入力すると答えが見えてきた。クレーム品はすべて6月以降に出荷したものだった。6月といえば梅雨のシーズン、ペーパーは湿度の影響を受けやすいことは理解していた。『あっそうだ、段ボールだ』とひらめいた。製品は段ボールに詰められてパレットに7段積み上げられていた。いちばん下の段ボールは、かなりの圧力がかかっている。段ボールもペーパーなので水分を吸うと弱くなってしまう。梅雨時に長時間保管されれば、上からの重みで段ボールは耐えられなくなる。段ボールは中の製品を保護しているが、その役割ができないと製品に圧力がかかり弓状に湾曲してしまう。梅雨明けすると水分がなくなるが、製品は湾曲して反ったままの状態で出荷される。これがマサが考えた仮説だった。また技術センターのサッさんの出番となった。相談すると、梅雨時と同じ環境にできる部屋があると聞きテストすることになった。1週間その部屋に置いた後に、圧縮試験機で段ボール7段積み相当の圧力を加えることができた。仮説通り見事に水分を含んだ段ボールは潰れた。データもしっかりとプリントで出力された。データから対策もしっかりわかった。段ボールの段積みを7段から5段に減らすだけで、梅雨時に耐えられることがわかった。