旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『白い抜け』できた!

マサは、少しだけ落ち着いてきたのでクレームを分析することにした。売れ筋分析をPOSデータを使ったように、クライアント別、現象別に件数をグラフにするだけで何をするかがすぐ見えてきた。長野にあるパソコンプリンターのインキカートリッジを製造しているE社が半分を占めて、細かい抜け現象も半分以上だった。これらにまず手を打れば、この忙しさから解放されると真剣に考え始めた。虫メガネで見ないとわからないような抜け現象も発見されクレームとなっていた。ペーパーパウダーによる現象でゼロにはできないと現場から報告を受けていたので、最低基準を設定してクライアントに了承を得ることができた。いちばん厄介だったのは、白い抜け現象だった。3つの工程部門長に犯人探しのようにサンプルを見せると『うちの工程では発生しないよ』と揃って遠州弁で回答するので、彼らのことを信じた。内部で白い抜けが発生しないとすると、輸送中にトラックの振動によって擦れてできるのではないかと考えてみた。どうやって検証すればいいか迷っていると包装管理士の講師仲間のサッさんのことを思い出した。愛知県の技術センターで紙粉レス段ボールを開発した時に、いろいろな試験機を見せてもらっていた。トラックと同じ条件で振動テストができると聞いていた。早速サッさんに電話すると『久しぶりです。喜んで!』と居酒屋の店員さんみたいに元気のいい返事だった。同じ製品を段ボールに詰めて、三ケ日から技術センターのある刈谷まで運んだ。高速道路で行くと1時間もかからなかった。振動試験機の上に段ボールを乗せて1時間も揺らすと同条件になると説明を受けた。これまでの2人の出来事を話しているうちに時間は過ぎた。段ボールの中から製品を取り出して『白い抜けできた!』思わず叫ぶマサがいた。