旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『物語り』のパッケージ

マサは、サントリーの『なっちゃんの秘密』の物語りをメンバーに話した。唐突ではあったが『みんなで、新しい物語り考えてみないか』と提案するも、男子も女子も反応が鈍かった。自分たちはサントリーじゃない、小説家じゃない、そんなこと出来るわけないという顔だった。それでも1週間後までにそれぞれの物語りを持ち寄ることにした。一人だけ目が輝いていた男子がいた。名古屋の教育大学を出ているためか自信をのぞかせていた。彼の名前はツッチー、感性豊かな才能をマサは買っていたが、この思いが後から大変な目に逢うとはこの時点では分からなかった。1週間後、ツッチーは『物語り』を予想通りいっぱい出してきた。他のメンバーからは恥ずかしくて出せないとひとつも出してくれなかった。ツッチーの案を朗読させたが、他のメンバーは白けていた。これでは上手くいかないと判断して、このテーマはツッチーとマサで進めることにした。ツッチーの考えた『物語り』で新しいパッケージを創り出すことにし『物語りパッケージ』とテーマ名を決めた。ひとつ目は王子様の物語りだった。大の大人が語るには、聞く方も恥ずかしかった。その物語りは『王子様が白い馬に乗り、風に吹かれるとマントが羽ばたき帽子も飛ばされてそうだった。』これをパッケージにしたらどんなイメージになるか想像できなかった。構造デザイナーのストーンさんへツッチーは依頼をした。出来上がったパッケージを見せられて、腰が抜けそうになった。ペーパーと白く透けて見える和紙の組み合わせで、まさに王子様の帽子だった。今まで見たこともないパッケージだった。ツッチーはアーティスト以上の奇人かもしれないと感じたが、すべてを受け入れるマサがそこにいた。