旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『銀行』の同級生

マサは、大垣にある同級生の『銀行』に向かった。当時は岐阜でいちばん高いビルだったので、クルマで行ってもわかりやすかった。大きなビルに反して周辺の町並みは小さい建物が多く、趣きのある落ち着いた町だった。銀行の中に入るのは初めてだったが、やはり張りつめた感じがあった。部屋に案内されるとシマちゃんは3人並んで登場してきたので驚いた。名刺交換にも緊張感が漂っていた。同級生ではあったが『久しぶりでございます』と丁寧語を使っていた。今思えば、これもリスク管理のひとつで怪しい人だった場合の対応だったような気がした。シマちゃんは分厚い本を持ってきて見せてくれた。本の背表紙を見ると『銀行百年史』と書かれていた。いつ創立から聞いてみると1896年で、マサの会社より4年古く歴史あることを知った。シマちゃんは本をペラペラめくり、最後のページを見せて『どこがプリントしたのかな?』と確認し合うようにすると競合のD社の文字をみつけた。やはり情報通り競合のD社が入り込んでいるのがわかった。いきなりではあったが、『Vリーグスポーツイベント』の企画書を説明した。『ペーパーだけじゃないの?』とシマちゃんも他の2人も目が点になっているのがわかった。これまで全くビジネスをしていないので『取引きを始めるにはどうすれば』とズバリ聞いてみた。『銀行は預金があって成り立っている』と大きなヒントをシマちゃんは与えてくれた。顔合わせが終わると17階にあるスカイラウンジに案内してくれた。岐阜の金華山伊吹山まで見渡せた。前日降った雪が町の屋根に積もっていて一面銀世界で、どこの窓ガラスも巨大な水墨画に見える素晴らしさだった。壁に掛かった歴代頭取を見ながら『シマちゃんもいつかここに』と応援メッセージを送る同級生のマサがいた。