旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『ブレーンストーミング』って

マサは東京でのプロデューサーの肩書きもさることながら、プランニングでさえ出来るかどうか不安な毎日で、まわりの人でさえ別の部署に異動させたほうがいいのではないかとウワサされるようになった。もう東京にきて2ヶ月は過ぎただろうか、後輩を含め他の人達はバンバン仕事をしだしたから余計にプレッシャーがかかっていた。先輩主任から『きょうはみんなで、ブレーンストーミングをやろう!』M社の新商品のネーミングを考えるために、試作品のお菓子を食べながらのアイデア会議だった。『ブレーンストーミング』って何だろうと変な顔をしていると、先輩主任から『ルールはひとつ、出したアイデアは決してけなさないこと』人のアイデアにプラスして発言してもよく、そうすることで文字通り『脳に嵐を呼ぶブレーンストーミング』となり優れたアイデアが生まれるのだそうだ。『沈黙は金』をモットーにしていたマサは、長く話したり長文を書いたりするのが苦手だったが、ネーミングのような単語だったら自分でも考えられるのではないかと思った。アイデア会議が始まると、後輩達は自分の仕事を抱えているため気が気でなかったのか、ポツポツとしか発言がなかった。マサはどういう訳か今でもわからないが、突然にストレスから解放されたように、次から次へとネーミングが浮かび発言していった。先輩主任は目が点になって『どうしてしまったんだマサ』と嬉しそうな表情で叫んでいた。これがマサにとっての運命の日となり、まさにマサの脳は『ブレーンストーミング』の脳に生まれ変わったような気がした。