旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『プロデューサー』の名刺

マサは平日に戻ると、子供達にウケるアート講座がアタマに引っ掛かりつつ、また東京の会社員生活に思いが戻っていた。新入社員で入ったばかりの頃、パッケージ製造の現場でどうも引っ掛かるものがあった。ラムネのガラス瓶のカタチをした小さなプラスチックの容器だった。今でも売っているナショナルブランドM社のお菓子を入れる容器が、こんな所で製造されていることに驚いた。うそかまことか、商品そのものも提案したと説明してくれた。それから数年後に東京に来たときに、それがうそではないことを知った。例の先輩主任から、一週間もすると名刺を手渡してくれる。『商品企画プロデューサー』と印刷された名刺だった。テレビや映画などでは耳にしたことはあったが、初めて聞く言葉とイキナリ自分の名前のアタマに肩書きが付いていたので、目が点になっていた。そのM社の企画を手掛ける先輩主任は『今日から君たちも商品企画プロデューサーだ。そのつもりで頼む!』と熱く語った。とは言っても、企画のキの字も知らない、東京には知っている人もいない、どうすればいいのかわからない状態がしばらく続いた。でもマサは、ラムネのお菓子のことがずーっと引っ掛かっており、いつかそんな子供達が喜ぶお菓子を企画してみたい、これが『商品企画プロデューサー』の仕事ではないかと考えるようになった。それが現在のアート講座でも子供ウケすることにつながっていることに気が付きはじめていた。