旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

2枚切り

マサはまた2日後に事務所の扉を引いて、挨拶をして入った。「こんにちは」と言うや否や、元教師の横さんが待ち構えていた。「使い終わったポスターでも大丈夫ですか?」とアート材料に使ってもいいかを聞いてきた。「紙ならなんでもOKです」と想像してなかった質問にアッサリと返事をした。確かに廊下の掲示板に、イベント告知のポスターが何枚も張ってあった。期限が過ぎたらゴミになるだろうと思っていた。「たくさんポスター取ってあるので使えると嬉しいです」と素直に話す。2日前に机に置いたペーパーリーフのテンプレートを使って、ポスターの裏側にシャープペンのラインを入れた状態の紙がたくさんあった。「テンプレートありがとう。ちょうど8人の小学生がいるから、やってもらえる!」と土日に勉強に来る子供達にもやってもらうことを伝えてくれる。横さんの机の上には、もうたくさん切った紙の葉っぱが紙の箱に入れられていた。しばらくすると横さんは勤務時間が終わり帰って行った。「時間があれば、こちらを切ってもらうと助かります」とメモと一緒に、ラインの入ったポスターの紙とハサミが置いてあった。1枚ずつ葉っぱ型に切り出したところで、ラインのない白い紙がその下にあるのに気が付く。ポスターを四角に切った紙が同じ大きさだったので、2枚一緒に「2枚切り」することがわかった。さすが元教師らしく、ここでも頭の良さに感心させられた。葉っぱ型に切ったポスターの紙を触ってみると、お菓子の箱にない滑らかな感触だった。カールすることもなく平らな状態なので、糊付けや貼るにもやりやすいと感じる。改めて紙の厚みをネット検査すると、お菓子の箱は0.4㎜でポスターは0.14㎜であることを知る。ポスターの厚みが三分の一であることから「2枚切り」が可能だと、珍しく数字で理解するマサだった。