旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

小さな挑戦その2

マサは、普通の日の土曜日はゆっくりBSで1週間分の朝ドラを見ることにしていた。しかし、きょうは礼服に着替えて気を引き締めて準備していた。岐阜市の施設メディアコスモスの中にあるレンタルスペースを借りるための審査会に参加することになっていた。審査会が終わると近くのお寺に向かい母の7回忌の法事もあった。着替える時間がないために、礼服を着てネクタイだけを変えるつもりで自転車で家を出ることにした。9時15分に控え室に到着すると、すでに1人が待っていた。これまでに面識があったが、数分の間にいろいろ話を交わした。捨て犬を捕獲して欲しい人に引き渡す活動をしていること、犬の支援物資を送ってもらうためにレンタルスペースを活用しており、継続して利用するために審査会に臨むこともわかった。初めて審査会に出るマサは、審査の方法も知りたかったので聞いてみた。『審査員の質問に答えるだけでいいですよ』と落ち着いた様子の答えに安心した。『犬をペーパーリーフアートで作ったことありますか?』という質問に、最近作ったトートバッグ柄で家で飼っているパピヨンの作品を見せた。『この犬はカフェです。ずーっと噛み癖があるからどうやってシツケしたらいい?』と聞くと、今からでもできるシツケの方法を丁寧に教えてくれた。あっという間に時間が過ぎて職員の方が呼びにきた。隣の部屋に案内されて会場に入ると、想像以上の緊張感に包まれていた。正面に審査員5名が扇状に並んで座り、そのセンターに座ることになった。『それではどうぞ』審査委員長から口火が切られた。え!、さっき聞いたのと違って頭が白くなるのがわかった。審査員の質問に答えるだけと聞いていたので、不意を突かれた感じだった。これまでの活動の記録ファイルや最近のラミネート作品を持っていたので、これらを見てもらいながら説明をアドリブでやってみた。『レンタルスペースはどんな頻度で使いますか?』『来年はフリーになるので毎日でもOK!』と回答すると、審査員全員が笑っているのがわかり終わり頃にやっと落ち着いてきたのがわかった。これが、マサの2つ目の小さな挑戦となった。