旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『自転車』汗ダク通勤

マサは、三ケ日の初日は余裕を持ってアパートを出た。娘が高校時代使っていた『自転車』がまだまだ使えそうだったので引越しのトラックに乗せていった。浜名湖畔沿いに会社があったので、ゆっくり湖畔に沿っていけば会社に着けると思ったのが間違いだった。行っても行ってもらしい場所に行けず、別荘地帯に迷い混んでしまった。今ならスマホの地図アプリでナビで案内してくれるが、動物的な感を頼りにしたのが甘かった。20分もあれば着くと予想していたが、1時間もかかりやっと到着した。春先で湖からの風もあったので比較的涼しいはずだったが汗ダクになっていた。『自転車』通勤している総務のアキちゃんに聞いてみると、ママチャリでなくモトクロスバイクを使って来ていることに納得する高低差のある通勤路だった。やはり、その日の夜は足がつってしまった。それでもなんとか1ヶ月は続けられたのは、野球やテニスで培った体力のおかげだと思った。なぜ辞めてしまったのか、想像以上の仕事のハードさがあったのも原因だった。前任者は1ヶ月後に定年退職を控えており、その間にすべて引き継がなければならない状態だった。マサにとっては今まで経験したことのないペーパー製品の品質管理の管理者の仕事だった。ペーパー製品の企画には携わってきたが、製造方法については概略しか理解しておらず、細部は説明してもらってもマスターするには時間が無さすぎた。前任者は汗ダクのマサを初日に見るなり『まだ仕事してないのに大丈夫?』と心配してくれたが、その大丈夫の意味がだんだんわかっていった。初日は時間の過ぎるのが早かった。夜の8時を過ぎていたので『今日はこれまでに』と気を遣ってくれたようだった。帰りの『自転車』通勤は、これからを予測しているかのように湖畔は薄暗く、帰りは20分の『自転車』通勤の初日を終えた。