旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『フラッグアート』の商店街

マサは、久しぶりに取材でチカチャンと会うと新たな課題を用意してくれていた。岐阜商店街の年末イベントに知恵を貸して欲しいというものだった。アーケードの天井から、巨大なフラッグを吊り下げるようになっていて、毎年10月から『フラッグアート展』が開催されていた。岐阜出身の日比野克彦が審査員となって全国からアート作品が集まりかなり見応えのある珍しい展覧会となっている。1ヶ月もするとすべて外されるので無くなると寂しくなっていた。クリスマスや正月の時期に、その場所をもっと活用したいというのが課題だった。よくよく聞いてみると、その思いは商店街の組合長が持っていることがわかり会いに行くことになった。商工会議所のドアを開けると『よおっ』と組合長ともなると貫禄充分でドスが聞いた声にたじろいだ。まだまだ飲み屋が少なかった玉宮町を中心にイルミネーションフェアをするというものだった。『アーケードに吊り下げるフラッグをキラキラ光らせたい』と簡単な説明だった。チカチャンはイベントポスターのデザインを見せると『いいね。これをフラッグにして光らせればOK』と組合長とチカチャンもマサを見つめて頼まれ顔になっていた。今のように小さなLEDがない時代だけにハードルがかなり高い宿題だった。会社に戻り専門のスタッフと相談してみた。細いビニールパイプに豆電球が入った電飾を使えばなんとかなると、意外にも簡単に答えが出た。時間もなく構想をスケッチすると即OKも出た。いちばん目立つ駅前と柳ケ瀬商店街の入り口の二箇所に設置された。フラッグの周りにビニールパイプの豆電球電飾で華やいだ雰囲気になった。マサの通勤経路にあったので夜は眺めながら満足気に帰って行った。ある朝、ビニールパイプが曲がっていたのでビックリした。夜の間に、酔っ払いがジャンプしてぶら下がったらしい。あの高さだから若者でバレーボール選手ぐらいねジャンプ力がないと無理だろうとも思った。すぐスタッフに連絡して修理できたのでとりあえず安堵するマサがそこにいた。