旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『慶早戦』の試合

マサは、同級生のトシちゃんから『早慶戦』のチケットをもらい見に行くことにした。岐阜メモリアルセンター長良川球場で開催されるのは久しぶりのことだった。名古屋で仕事を終えてからだったので7時半にしか入れずに、7回まで進んでいた。学生時代は欠かさず観戦していたので懐かしさが充分過ぎるほどだった。若き血の先輩からは『早慶戦と言わないように、慶早戦と言うように』と指導されていた。試合途中の応援合戦は帽子を被ったりとったりと忙しいが楽しくもある。1番の醍醐味は、試合が終わってからが最高に盛り上がる。両校の校歌を半分ずつ分かれて立ち上がって歌うのは、歌うも聞くも壮大な光景である。『見よ風になる、、』で始まる慶應の校歌は、塾歌といって荘厳な歌詞と曲に歌いながらも酔いしれてしまうほどだ。『都の西北、、』で始まる早稲田の校歌も全員で右手を振り下ろしながら歌う姿に圧倒されてしまう。その後にお互いの健闘を祝したエール交歓もしびれるほどだ。全員着席した後に、勝利した時だけ歌う応援歌もある。『丘の上には、、』で始まると、自然に肩を組んで横に揺れながら歌うのである。少し悲しげな曲に、球場のライトも少しずつ落とされていくとムードも最高潮に達するのだった。これらは東京の神宮球場の話で、岐阜の長良川球場では外野席には人がおらず内野席も7割程度でイメージ少し違っていた。一人で球場に入ると『マサ久しぶり』と声を掛けてきた人がいた。2年先輩のオーケーさんで、中学、高校、大学、会社まで同じ経歴で、現在は家業を継いで社長になっていた。横にいたのがオーケーさんの同級生夫婦で、こちらの方とも仲良くなれビールまでご馳走になった。試合は1対0で慶應が勝利して、『丘の上』は歌えなかったが『塾歌』を先輩ともども声張り上げて歌う姿は昔のままで、『慶早戦』の試合に応援以上に熱い縁を感じるマサがいた。