旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『コーティング』の技

マサは、オッチーさんのアポしたグループ会社のスズッキーさんと面談した。笑うと目が無くなるほどで愛想がよく体格も小ぶりのお相撲さんという感じだった。『こんちわー』と体育会系のノリがオッチーさんと仲がいいのがわかるような気がした。『この間のゴルフはお互いダメでしたね』と挨拶代りに言葉を交わした。『グラビア方式でダンボールにコーティングできる?』と単純明解に言うと『オッス、多分できると思います』『多分じゃないよ』『オッス、できます』と昔の体育会系のやり取りにただ唖然としたマサだった。『次は、技術に詳しい者を連れて来ます』と言って数分の打合せを終えた。次の週に、スズッキーさんは技術者を連れてやってきた。対照的で細身でゴマジオ頭のスポーツ刈りでいかにも技術者で、作業着を着ての姿だった。『スズッキーから聞いてます。グラビア方式でコーティングできる工場もあります。まずはテーブルテストで3種をコーティングしてみましょう』と少しオッチーさんの鋭い目線を感じながらのコメントだった。『わかった。いつできるんだ』と口調が少しだけ強くなった。オッチーさんの営業トークは、相手の話しに上乗せするまさしく『コーティング』の技だと感じた。『よし、1週間後の今日だな』と満足した顔になった。例により、もう行きつけとなった中華料理屋に行くことになった。『前祝いだ、乾杯!』袋の中から青いメガホンを差し出して『お礼の気持ちだ』とVリーグの娘さんのサインが入っているものだった。『マサといると、うまく仕事がいくようになったよ』と本心だと思ったが、営業トークも素晴らしく乗せられていくのもわかった。グラビア方式のダンボールへの『コーティング』の技と営業トークの技をダブらせて関心しているマサがいた。