旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『ダンボール』もペーパー

マサは、包装管理士の講師を2010年まで8年間つとめていた。講師同士のつながりも広がっていった。あいち産業技術総合センターのSさんとの出会いが、マサに新たな1ページをもたらすことになった。刈谷市にあるこの施設は、トヨタ自動車の関連会社がいろんな試験を依頼を受ける公的機関でもあった。新しい包装管理士の歓迎会に講師陣も呼ばれて集まった席で、Sさんがニッコリ笑顔でマサの方に近づいてきて話し出した。『ダンボールは扱いますか』と突然の質問に戸惑ってしまった。『ダンボール』もペーパーだから、なんとかなるだろうと『専門ではないが、関連会社もあるので大丈夫ですよ』と軽い気持ちで返答した。『自動車関連でダンボールの悩みがあるんですが』と公務員だけあって真面目そのもので実直な姿に好感が持てた。よくよく話を聞くと、自動車部品会社の最大手D社であることがわかり驚いてしまった。『それでは一度お邪魔させてください』と技術センターに行って打合せすることにした。大きなビジネスになる予感があったので、大型営業マンを指名して同行訪問することにした。大型営業マンのゆえんは、オッチーさんという愛称の大先輩でオリンピック選手を輩出しているH大学元バレボール選手で大きな体格の人だったからだ。東京で出版社の営業を長年やり水も甘いも知り尽くした営業マンだった。娘さんは、Vリーグのストライカーで日本代表のキャプテンにもなったことも付き合う内にわかった。オッチーさんと会話するうちに、どんどん引き込まれていく魅力を感じるようになった。営業本部長に相談した結果、2人は市場開拓チームに任命されることになった。企画のセクションからも離れて、マサは仕事の上でも新たなスタートを切ることになった。