旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『イケさん』の教え

マサは、イケさんとともに『包装管理士』の試験に合格した。週1回は銀座に通い3ヵ月間12回のレポートを提出し、個人別のテーマで長い論文を提出した。最後は湯河原に宿泊して、審査員の前で論文をプレゼンした。イケさんに何度かレポートを見せてもらい提出することもあったが運転免許以外の資格が取れて、やはり嬉しかった。しかし自分の名刺に資格を入れるようになったのは、ずいぶん後のことであった。企画へのこだわりから、包装管理士の名前はイメージを損なうと勝手に思ってしまっていた。イケさんは、嬉しそうに新しく資格の入った名刺を見せてくれ、なんだか伯がついたようで格好良く見えたのは不思議だった。資格をもらったのは年末近くで年賀状の話題になった。マサは、手書きで版画を毎年作っている話しをすると、イケさんはパソコンで表も裏も作成しているので驚いた。まだまだワープロが出始めたばかりだったが、パソコンを使いこなしていたのだった。『カンタンだよ。宛名もデータベースしてあるからね』さすが、技術系の出身だと痛感させられた。マサは、刺激を受けて秋葉原に出掛けていった。パソコンはまだまだ高価だったので手が出ず、ワープロを購入することにした。表の宛名もそれなりに印字できたが、入力だけでかなり時間がかかり大変だった。イケさんが、ワープロはやめたほうがいいとアドバイスもらっていたのがその理由が後でわかった。宛名の管理がうまく出来ず3年で役立たずになった。その後パソコンの世界は激変していった。IBMNECのパソコンメーカーから、マイクロソフトやアップルのソフトの世界へ変わっていった。マサも、イケさんのあの時のアドバイスを後になってやってみようと思う機会があった。会社のチャレンジスクールで通信教育でパソコン講座が目に入った。マッキントッシュのパソコン付きで5ヵ月で学べ、レポート提出すれば半額は会社が負担してくれるので思い切って受講し『イケさん』の教えを果たした。