旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『5ファイブ』の衝撃

マサは、単身赴任時代は5時55分にスマホの目覚ましをセットしていた。デスクの内線番号も555で『5ファイブ』をラッキーな数字と意識するようになっていた。年がばれてしまうが、1955年5月生まれでもあり、ここでも555と3つ並ぶことに気づいた。K社の『グミキャンディ』の衝撃から立ち直れていなかったマサだったが、専務さんの配慮もあり次の機会を与えてくれた。『5ファイブ』袋の企画を指名で依頼があった。『5ファイブ』袋とは、文字通り5つの袋がつながっていて、5つとも違う味を入れられる優れたもので、その包装機械を複数台の導入を検討していた。ラッキーな数字『5ファイブ』なので、挽回のチャンスがきたと感じていた。とにかくアイデアいっぱいいるため、ハスキーボイスの女子とともにブレストをやった。『こどもこども』向けの5連のラムネ菓子が、『おとなこども』向けの5連チョコを、『おとなおつまみ』向けの5連豆菓子と色鉛筆でスケッチしてくれた。このまま表紙をつければいい、分厚い企画書が出来上がった。これらのアイデアは、すべて商品化されたのでビックリを通り越していた。ほとんどが、クライアントが考えていたものだったが、ひとつだけあの専務さんを驚かさせたアイデアがあった。『これはいける、今日はお日柄はどうだ?』開発室長は、日めくりを眺めて『大丈夫です。』とあんうんの呼吸で決めることにしたようだった。『おとなこども』向けの5連のグミだった。明治製菓の1個売り果汁グミを5つつながるイメージを、この場に立ち会った人たちは想像していた。ちょうどその頃、コンペ負けしたファミリー向けの『グミキャンディ』は一時の勢いをなくしていたために、渡りに船だったのかもしれない。結果、爆発的な売れ行きを見せ、現在もコンスタントに売れているロングセラー商品となった。これらの商品群はこの年のジャパンパッケージコンピティションJPCの部門賞も獲得した。まさしくこれがラッキーな『5ファイブ』の衝撃だった。