旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『グミキャンディ』の衝撃

マサは、1989年いきなりではあったがK社から『グミキャンディ』の企画コンペに参加するように依頼がきた。パッケージ形状は、苦手な袋入りでキャンディのような形式でグミを個包装することは決まっていた。ネーミングとデザインが課せらたテーマだった。10日間と短期間で3種のフルーツ味の展開があったが、調査からが基本と考えていたのでPOSデータとスーパーの店頭、図書館にも行ってグミについても調べてみた。グミは1920年ドイツが発祥で、こどもたちの歯の病気を予防するために、フルーツ果汁とゼラチンで固めて作ったのが始まりだった。意外に歴史は浅く、ヨーロッパのお土産としてクマを形とって透明感のあるゴールド色にしたことで有名になっていった。日本では明治製菓が1980年にコーラアップを、1988年に発売した果汁グミがヒット商品となっていた。コーラアップは『こどもこども』向け、果汁グミは『おとなこども』向け、今回の商品は『ファミリー』向けで主婦が購入すると想定した。ヨーロッパのベアグミがキラキラ光っていることが頭から離れなかった。透明の個包装にグミを入れて外袋に詰めれば、外からもグミがキラキラ光って目立つし、フルーツの形も見えるから可愛いかもしれないと方向性を絞ってしまった。ネーミングもシンプルにフルーツの味に合わせて、例えば『グレープグミ』と今考えると安易すぎたかもしれない。調査期間が長く、コンセプト絞り込みに手間取ったためデザイン検討時間がなくなっていた。ギリギリまで時間をもらった結果、プレゼンが最後になった。競合他社はすでに出ているようで、クライアントの反応で結果が肌で感じとれた。マサの『脳汁』は全く出ないばかりか、青ざめているのが自分でもわかった。初めてのコンペ負けで、この『グミキャンディ』の衝撃は今でも忘れられない記憶となった。