旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『忙しい』休みの日

マサは、休みの日も朝ドラ1週間分を見ながらパソコンに向かっていた。『公開プレゼン』採択の結果、次の活動に向けて資料作りをしていた。『半分、青い。』の別れのシーンもいつもなら涙を流していたが、ドラマに集中できていなかった。秘書役の妻からも、『昼は自分で作って』と突然の注文に戸惑った。作る材料はあるらしいが、時間の制約がある中で、更に集中ができなくなっていった。マサは、単身赴任時代に得意な料理をひとつ作り出した。これをオーダーしてきたのだった。良きアドバイザーのトシちゃんも三ケ日のアパートに泊まりに来たことがあったが、真夏の夕食にこのメニューを出したら喜んでくれた。『お店をやったら?お金がとれるよ』というほどで、少し自信を持つようになっていた。このメニューとは、ざるそばを温かいつゆで食べる『つけ麺』だが、つゆの中に鶏肉、人参、玉ねぎ、椎茸をきざんで創味のつゆで煮込むだけのものだ。いちばん気を使うのは、そばのゆで時間で、硬すぎず柔らかすぎずが難しい。今日もいつもと同じ美味しさの『ざるそば』にマサは自分で満足しながらお昼を食べた。午後からは、自転車でメディアコスモスに向かい採択事業の説明会と手続きを済ませた。その足で、良きパートナーチカチャンの事務所のチャイムを押した。『いらっしゃい』と早速お茶をだしてくれた。道の駅のイベント以来なので久しぶりだった。ビデオカメラで撮影していた、道の駅イベントや介護施設の出張講座の動画を見せてくれた。動画の臨場感は当時そのものを再現してくれ、秘書役の妻がおまけにやった二胡の演奏がやけにココロに響いた。そうだった『マサアンドはっちゃん』だった、アートと音楽で癒しはいけるかもしれないとも改めて思った。チカチャンは、その後、道の駅にある『そば屋さん』の暖簾やメニューのデザインを手掛けた実績を見せてくれた。休日は道の駅は人が多く訪れるようになっており、『そば屋さん』の皿洗いの手伝いもしているようで、楽しい仕事ぶりが羨ましくもあった。マサの今度のアートセミナー事業も、チカチャンのチカラでいいチラシや広報誌を作ってくれると思った。昼に作ったマサの『ざるそば』とチカチャンの『そば屋さん』の仕事に、なんだかつながりを感じたマサは、『忙しい』休みの日も充実した日となった。