旅するペーパーくん

ペーパーくんの癒しとヒラメキの日々

『冬のアイス』は真似ない

マサは、汗が出る夏は苦手だったが、この夏場にメーカーは冬に向けて冬物商品を企画するのが通例であった。朝ドラ『半分、青い。』は、漫画ネタのアイデアを盗んで先生が激怒するシーンだった。マサも決して真似をしたり、似たものを提案しないよう教育を受けていた。心配な時は、法務部門に相談もしていた。次回は『冬のアイス』をℹ︎社に提案することを決めていた。POSデータにより、売れ筋ランキングを調べてみると『ロッテの雪見大福』が冬に向かって売上げを伸ばしているのはデータを見るまでもなかった。たい焼きアイスなどのモナカに包まれたアイスも定番になっていた。夏場に冬をイメージするのは、なかなか難しい。『ロッテの雪見大福』はアイスを薄いモチで包んだ製品で当時画期的で、他社も真似た商品を出してきたが特許侵害で撤退せざるを得なかった。ネーミングも素晴らしく、冬物に食べるアイスを表現していた。マサの家では、幼い頃からネコを飼っていた。冬になると『ネコはコタツで丸くなる』の歌のようにマサといっしょに眠ることも多かった。コタツの上にはカゴに盛られたミカンが必ず置かれていた。冬場のシーンを思い出していると『これだ!』とヒラメイた。『コタツDEミカン』というネーミングが先に浮かんだ。余談だが、現在コタツがある家庭は50%あり、県別は山梨県がトップ、最下位は以外にも北海道である。次いで沖縄、東京の順なのは理解できた。コタツが登場したのは室町時代で、コタツとミカンがセットで登場したのは明治時代以降だそうだ。それ以外にミカンで思い出したのは、在来線で売られていた赤いネット入りの冷凍ミカンであった。『これも使える!』と『冬のアイス』の手書きの企画書を作成した。『コタツDEミカン』は半球状のモナカにミカン果汁入り橙色アイスと白バニラアイスが交互に三角形に並べられ、ミカンの輪切りを再現していた。このスケッチ通りに、エビスさまは商品化してくれたので感激したのは言うまでもなかった。赤いネットの『冷凍ミカン』は、ちょうどプラスチック容器に入ったメロン型のアイスがあったので、ミカンの型にして赤いネットに入れて『冷凍ミカンアイス』としてスケッチしたが、こちらも店頭に並ぶことになった。このスピード感は今の時代にも通用するほどで、エビスさまのなせる技に、営業マンの派手好きゴー君といっしょに喜び溢れてカンパイした。